バッテリーが膨張したときの正しい対処法|冷やすのは危険?安全に処理する方法

スマホやノートPCの本体が浮いている、背面が膨らんでいる、画面やキーボードが押し上げられている場合は、内蔵バッテリーが膨張している可能性があります。

膨張したバッテリーは、そのまま使用・充電を続けず、まず使用を中止してください。

また、「熱を下げれば安全になるのでは」と考えて、冷蔵庫・冷凍庫に入れたり、冷たい保冷剤を直接当てたりするのも避けましょう。急激な温度変化によって端末内部に結露が生じ、故障やショートにつながるおそれがあります。

膨張したバッテリーを見つけたときの基本対応

  • 使用・充電を中止する
  • 押す、曲げる、穴を開けるなどの力を加えない
  • 冷蔵庫・冷凍庫・冷たい保冷剤などで急冷しない
  • 可燃物から離れた安全な場所で扱う
  • メーカーや販売店、正規の修理窓口などへ相談する

この記事では、「バッテリー膨張は冷やしてよいのか」という疑問を中心に、膨張する原因、放置するリスク、安全な対処法、交換・廃棄まで順番に解説します。

バッテリーが膨張したとき冷やすのは安全?

結論からいうと、膨張したバッテリーを冷蔵庫や冷凍庫に入れたり、冷たい保冷剤で急激に冷やしたりするのは避けてください。

一方で、「冷やす」という言葉には注意が必要です。高温になった端末を直射日光や暑い車内から離し、常温の安全な場所へ移して自然に温度を下げることまで避ける必要はありません。

重要なのは、膨張したバッテリーを積極的に冷却して使い続けるのではなく、異常が確認された時点で使用を中止することです。消費者庁も、バッテリーが膨らんでいる、変形しているなどの異常が見られた場合は、直ちに使用を中止してメーカーまたは販売店へ相談するよう案内しています。

消費者庁「要注意!暑い時期のリチウムイオン電池」

冷やすと危険が増す理由

冷蔵庫や冷凍庫、冷たい保冷剤などによって熱くなったスマホを急激に冷却すると、急な温度差によって内部に結露が発生することがあります。

Samsungも、熱くなったスマホへ保冷剤を当てたり、冷蔵庫・冷凍庫へ入れたりすると、急激な温度変化によって内部に結露が発生し、故障につながるおそれがあると案内しています。

対処 判断 理由
冷蔵庫・冷凍庫に入れる 避ける 急激な温度変化で結露するおそれがある
冷たい保冷剤を直接当てる 避ける 急冷による結露のおそれがある
水や氷をかける 避ける 水分侵入や急激な温度変化につながる
高温の場所から常温の場所へ移す 基本対応 高温環境を避けて自然に温度を下げる

Samsung Japan「スマホが熱くなる原因と対策」

なお、これは通常の「スマホが熱い」という状態に対する冷却方法の話です。バッテリー自体が膨張・変形している場合は、温度が下がったからといって使用を再開せず、異常品として扱ってください。

やってはいけない間違った対処法

膨張したリチウムイオン電池は、外から強い力を加えることも危険です。NITEは、膨張したリチウムイオン電池に強い外力を加えると、内部にたまった可燃性ガスが噴き出し、発火するおそれがあると注意喚起しています。

  • 膨らみを押して元に戻そうとする
  • 針や工具で穴を開ける
  • 端末を無理に分解する
  • 膨張したまま充電する
  • 異常を確認したまま使い続ける

「膨らみを押して戻す」「自分で穴を開けてガスを抜く」といった行為はしないでください。

NITE「リチウムイオン電池搭載製品の事故」

なぜバッテリーは膨張するのか?

スマホやノートPCなどに使われるリチウムイオン電池は、劣化や高温、強い衝撃、内部異常などによって状態が悪化すると、内部でガスが発生して膨らむことがあります。

リチウムイオン電池の仕組み

リチウムイオン電池は、正極と負極などの間でリチウムイオンを移動させることで、充電と放電を行います。

小型・軽量で多くの電気を蓄えられるため、スマホ、ノートPC、モバイルバッテリーなど幅広い製品に利用されています。一方、電池内部が損傷したり高温環境にさらされたりすると、異常発熱や発火につながる可能性があります。

膨張を引き起こす主な原因

膨張につながる要因は一つとは限りません。代表的なものとして、次のようなものがあります。

  • 経年劣化:充放電や長期間の使用に伴って電池が劣化する
  • 高温環境:直射日光の当たる場所や夏の車内などで熱の影響を受ける
  • 強い衝撃や圧力:落下、圧迫、変形などによって内部が損傷する
  • 充電・電池の異常:電池や充電系統の不具合などによって異常な状態になる

NITEは、高温環境に置かないこと、強い衝撃を与えないこと、指定された充電器を使用することなどを事故防止のポイントとして挙げています。

すでに膨張している場合は「寿命かどうか」を自分で判定するより、異常が起きているものとして使用を止めることを優先してください。

膨張バッテリーを放置するとどうなる?

膨張したバッテリーを「まだ電源が入るから」と使い続けるのはおすすめできません。

バッテリーが膨らむと、電池そのものの異常だけでなく、スマホやノートPCの筐体にも物理的な力が加わります。

スマホやPC本体へのダメージ

内蔵バッテリーが膨張すると、その力でディスプレイや背面パネル、キーボードなどが押し上げられることがあります。

見られる変化 考えられる状態
画面が本体から浮いている 内部からディスプレイが押されている可能性
背面パネルが膨らんでいる 内蔵バッテリーが変形している可能性
ノートPCの底面やキーボードが浮く 内部から筐体が押されている可能性
本体が異常に熱い・臭いがする 使用中止が必要な異常の可能性

外観だけで膨張の原因や電池内部の状態を正確に判定することはできません。無理に押し戻したり、自分で分解して確かめたりしないようにしましょう。

発火や爆発のリスク

リチウムイオン電池は、高温や強い衝撃、内部ショートなどによって発熱・発煙・発火するおそれがあります。

NITEが2026年8月に公表した注意喚起でも、膨張・変形、異常な発熱、焦げた臭いなどが見られた場合は使用を中止し、販売店やメーカーなどへ相談するよう案内されています。

NITE「リチウムイオン電池搭載製品の事故」

バッテリー膨張への正しい対処法

膨張を確認したら、「元に戻す」のではなく、事故につながる行為を避けながら使用を中止し、メーカーや販売店などへつなぐことが基本です。

すぐにやるべき応急対応

  1. 使用を中止する
    操作や使用を続けないようにします。
  2. 充電を中止する
    充電中なら、無理のない範囲で充電をやめます。
  3. 強い力を加えない
    押す、曲げる、穴を開ける、分解するといった作業は避けます。
  4. 可燃物のない安全な場所へ移す
    布団、紙類など燃えやすいものから離します。
  5. メーカーや販売店へ相談する
    使用している製品のメーカーが案内する修理・回収方法を確認します。

NITEは、膨張・変形などの異常を感じた場合について、使用を中止し、金属缶や土鍋などの燃えない容器に入れて販売店やメーカー等に相談するよう案内しています。

ただし、すでに煙や炎が出ている場合は、自分で運搬することを優先しないでください。身の安全を確保し、対処が難しい場合は119番通報が必要です。

修理や交換の具体的な方法

スマホやノートPCのバッテリーは、端末によって交換方法が異なります。内蔵型の場合は、メーカーや正規サービスプロバイダなどへ相談するのが基本です。

たとえばAppleは、iPhoneのリチウムイオンバッテリーについて、損傷すると過熱や火災、けがにつながるおそれがあるため、バッテリー交換はトレーニングを受けた技術者が行うよう案内しています。

Apple「iPhoneの純正バッテリーについて」

保証の有無、修理料金、交換方法はメーカー・製品・契約内容によって異なります。「膨張していれば必ず無料交換」とは限らないため、製品名や保証状況を確認して相談してください。

バッテリー膨張を防ぐ予防策

バッテリーの劣化そのものを完全に防ぐことはできませんが、高温や衝撃など事故につながりやすい条件を避けることはできます。

充電の仕方と注意点

「必ず20%から80%の範囲で充電しなければならない」と考える必要はありません。適切な充電方法は製品によって異なるため、基本はメーカーの取扱説明書や充電機能に従います。

  • 指定された充電器・適合する充電器を使用する
  • 布団やソファなど熱がこもりやすい場所で充電しない
  • 充電中は周囲に燃えやすいものを置かない
  • 異常に熱くなった場合は充電を中止する
  • 就寝中など異常に気づきにくい状況での充電はできるだけ避ける

消費者庁も、満充電後に充電を続ける状態を避けることや、就寝中の充電は異常に気づきにくいためできるだけ避けることを案内しています。

使用環境と取り扱いのポイント

リチウムイオン電池は高温や強い衝撃に注意が必要です。

  • 炎天下の車内へ放置しない
  • 直射日光が当たり続ける場所を避ける
  • 端末を落としたり強く圧迫したりしない
  • 膨張や変形、異臭、異常な発熱を感じたら使用を止める
  • リコール対象になっていないか必要に応じて確認する

「膨張しないように使う」ことに加えて、「異常を見つけたら使い続けない」ことが事故防止では重要です。

安全な廃棄とリサイクルの方法

膨張したリチウムイオン電池は、通常の使用済み電池と同じ感覚で回収ボックスへ入れないようにしてください。

JBRCでは、膨張・破損・水濡れした電池は回収対象外です。

自治体や販売店での回収方法

正常な状態の小型充電式電池ではJBRCの協力店などを利用できる場合がありますが、膨張した電池については扱いが異なります。

JBRCは、膨張した電池などの回収対象外電池について、自治体またはメーカーへ相談するよう案内しています。

JBRC「排出方法(回収対象、対象外説明)」

環境省も、家庭から出る不要なリチウムイオン電池や電池使用製品について、住んでいる市区町村のごみ捨てルールに従うよう案内しています。

環境省「リチウムイオン電池関係」

処分先を決める前に確認すること

  • バッテリーが膨張・破損しているか
  • 電池を端末から取り外せる製品か
  • メーカーが回収・修理方法を案内しているか
  • 自治体がどの区分・方法で回収しているか

捨てるときに注意すべきこと

リチウムイオン電池は、廃棄物処理の途中で押しつぶされたり破損したりすると発火し、収集車や処理施設の火災につながることがあります。

そのため、自治体が指定していない可燃ごみ・不燃ごみなどへ自己判断で混ぜて捨てないでください。

また、膨張した電池を自分で端末から取り出そうとして、工具を差し込んだり、曲げたり、穴を開けたりするのも危険です。電池が端末内に固定されている場合は、メーカーや修理窓口へ相談しましょう。

まとめ:バッテリー膨張に気づいたらどう行動すべきか

スマホやノートPCのバッテリーが膨張している場合、冷蔵庫・冷凍庫・冷たい保冷剤などで急激に冷やすのは避けてください。

最も重要なのは、冷やして使い続けることではなく、異常を確認した時点で使用・充電を中止することです。

  • 膨張したら使用・充電を中止する
  • 冷蔵庫・冷凍庫・冷たい保冷剤などで急冷しない
  • 押す、曲げる、穴を開ける、分解するなどの力を加えない
  • 可燃物から離れた安全な場所で扱う
  • メーカーや販売店などへ相談する
  • 膨張した電池はJBRCの通常回収対象外なので、自治体またはメーカーへ処分方法を確認する

「まだ使えるから大丈夫」と判断せず、膨張・変形をバッテリーの異常サインとして扱うことが大切です。

情報確認日:2026年8月29日

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